NVIDIAがゲーム開発者向けに、新しいWindows PCプラットフォームのグラフィックス・AI開発ツールを公開した。開発者はAIで照明やマテリアルを調整し、デバイス内で動くモデルでプレイヤーと会話するキャラクターを作れる。

1. DLSS 5が照明とマテリアルを補強する

RTX Sparkは薄型ノートPCや小型デスクトップ向けのプラットフォームだ。同社の発表では、CPUとGPUが共有する最大128GBの統合メモリを搭載し、グラフィックス処理とローカルAIの実行を併せて支援する。

AIが画面の細部を補強する技術であるDLSS 5ニューラルレンダリングは、NBA 2K27を皮切りにこのプラットフォームに対応する。同社の発表では、10月のモデル更新は9月版より2倍速く、GPUの追加処理負荷を半減させ、画面表現の精細さを示す視覚的忠実度は同程度を維持した。同社の発表では、4Kでのビデオメモリ使用量は20%減少した。

ニューラルレンダリングは、エンジンが描いた画面を基にAIが照明やマテリアルの細部表現を補強する方式だ。開発者は、アーティストが設計した形状、表面の模様を表すテクスチャ情報、照明情報を基に、変更する要素を制御する。NVIDIAによると、Avalanche Softwareはこの制御機能を統合し、ゲームの美術的意図やスタイルを維持できるようにした。

2. Unreal EngineとArmベースの制作経路

DLSS 4.5プラグインは、バージョン8.9.0でArmベースのWindowsを正式にサポートする。

Unreal Engine 5.8向けに、対象プロセッサで直接実行するプログラムと、アプリのビルド・パッケージ化の経路を提供する。開発者はこの経路で、新しいプラットフォームに合わせてプロジェクトを準備できる。

対応ゲームでは、エンジンが描いた画面の間に新しいフレームを挿入し、動きを滑らかにできる。同社の発表では、RTX Sparkの動的マルチフレーム生成は、描画したフレームごとに最大5個を追加し、倍率を自動調整する。

デバッグツールもArmベースの開発環境に対応した。Nsight Graphics 2026.3はフレームを分析し、レンダリングエラーやGPU性能を調べる。プロセッサで直接動くアプリと、別のプロセッサ向けコードを変換して実行するエミュレーションアプリをサポートする。

Nsight Systems 2026.5はCPU・GPUの処理を同じ時間軸に表示し、処理速度を低下させる箇所であるボトルネックの特定を助ける。Windows用の統合インストーラーで、直接実行するアプリとエミュレーションアプリをサポートする。

Nsight Aftermath SDK 2026.3はGPUクラッシュ時の状態を記録し、ArmベースのWindowsで直接動くアプリに統合できる。

NVIDIA RTX Branch of Unreal Engine 5.8は、光の経路を計算するレンダリング技術であるレイトレーシングと、ニューラルグラフィックスを適用する基盤だ。今回の更新はコードの整理・安定化・互換性の改善に重点を置き、開発者はGitHubからソースを入手して修正・統合できる。

3. 対話型キャラクターをデバイス上で実行

NVIDIA ACEはゲーム内で動作するAIキャラクターの開発を支援する。PUBGは、小型に作られた第1世代の小規模言語モデルに基づくAIの仲間を公開ベータで披露した。Aniimoは第2世代モデルで音声に反応するゲーム内の仲間を実装し、2027年初めに発売予定だ。

公開されたNemotron 3.5 Bolt E4B 4GBは、同社の発表では、性能を比較する試験である関連ベンチマークでの平均品質が従来モデルより約40%高い。同等クラスのモデルより出力トークンの生成数が最大約80%少ないという点も、同社の発表に基づく。NVIDIAは、グラフィックス処理や音声モデル向けのメモリに余裕を残す設計を打ち出している。

モデルは会話中にアプリケーションAPIを複数回呼び出して作業を行い、ゲームの状態を反映したやり取りを支援する。開発者はIn-Game Inferencing SDKでモデルを利用し、音声会話に合わせて短く答えるよう設定できる。

ローカル実行では、ゲームや音声モデルに使うメモリも併せて考慮する。ここでいう推論は、モデル本体の推論に加えて行う任意の追加の思考であり、モデル本体の推論はどちらの場合も実行される。開発者は複雑な要求に対してこれを有効にでき、より速い応答が必要な場合は無効にしたり、レイテンシ目標に合わせて思考量を制限したりできる。推論を無効にしたり制限したりしても変わるのは応答の深さと速さであり、モデルが答えを生成するかどうかではない。つまり、キャラクターの応答の深さと遅延の間で、プロジェクトに合う設定を選ぶことになる。

活用例のSkyrimNETは、MinLLが作った、Skyrimを改造する活動であるモッディング向けのプラットフォームだ。ゲーム内のノンプレイヤーキャラクターに個別の記憶や音声、自ら判断して行動する能力である自律性を与え、会話や状況に合わせたクエストを構成する。クラウドとローカルの両方の推論に対応する。

4. レンダリング技術とキャラクターの動き

RTX Kitは、このプラットフォームに対応する8種類の技術で、テクスチャ圧縮や複雑なシーンの処理、髪・肌のレンダリングなどを支援する。ニューラルテクスチャ圧縮は、AIで保存容量を減らしつつ、従来のブロック圧縮と同程度の視覚的忠実度を維持するよう設計された。照明のノイズを除去したり、周囲の表面で反射して広がる光である間接光を処理したりするツールも含まれる。

MotionBricksは、目標姿勢の間をつなぐ動作をリアルタイムで生成するオープンソースの研究プロジェクトだ。開発者が動作の遷移を一つずつ作成する代わりに、プレイヤーの入力やゲームのイベントに合わせて動きを生成する。今回の更新では、人の動作モデルと学習済みモデルファイル、エクスポートツールが追加された。

MotionBricksは研究用コードとモデルとして提供され、研究デモでのUnreal Engine統合は今回の公開物に含まれない。

RTX Sparkの要点は、ゲームグラフィックスとローカルAIキャラクターを1つの開発環境で併せて試せるよう、ツールの範囲を広げたことにある。