Ollamaは、ローカルで作業するエージェント向けに複数の段階を連続して処理する小型モデルを追加し、Appleシリコンの入力処理速度を改善した新バージョンを公開した。開発者はテキストだけでなく画像や音声を扱うモデルを用途に合わせて選べるほか、既存の一部モデルでも、入力をモデルに渡して処理するプロンプト処理の高速化が期待できる。
1. テキスト・画像・音声を用途に合わせて選ぶ
2026年10月27日に公開されたv0.40.12の中心は、Liquid AIのLFM3への対応だ。この小型モデル系統はローカルエージェント、ツール呼び出し、構造化出力を対象とする。ツールを呼び出し、決まった形式で結果を受け取るアプリケーションに新たな選択肢が加わった。
基本のテキストモデルであるlfm3は1.7B規模で、コンテキストウィンドウ、つまり一度に参照できる入力範囲は256Kトークンだ。画像理解を追加したlfm3-vlも提供する。テキスト作業に集中するか、画像の内容も併せて解釈するかに応じて選べる構成だ。
lfm3-audioは音声認識と翻訳、音声合成、テキストを音声に変換する機能を18言語で処理する。lfm3-omniはテキストと画像、オーディオを1つのモデルで扱う。音声中心の作業と、複数種類の入力を一緒に扱う作業にそれぞれ対応する選択肢だ。
2. 判断用モデルは請求に関する問い合わせの分類などに活用する
Liquid AIのd1系統には、LFM3を基盤とする2Bサイズが追加された。テキストと画像について判断を下すモデルだ。
同系統のd1-omniはオーディオも扱う。先に紹介したモデルが入力の種類で分かれるように、判断用モデルでも扱いたい資料の種類に応じて選べる。
リリースノートは、二重請求に関する文章を入力し、請求問題に該当するかを尋ねる実行例を示した。入力に具体的な質問を投げかけて判断を得る形なので、コマンド1行でモデルの用途を確認できる。
ollama run d1:2b "I was charged twice for order 4417." --ask "Is this a billing issue?"例の入力は注文代金を二重に請求されたという内容で、質問はそれが請求関連の問題かを尋ねている。ローカルで問い合わせ内容を分類する機能を検討する開発者なら、このような質問形式を出発点にできる。
3. Appleシリコンでは既存モデルの入力処理も改善される
同社の発表によると、AppleシリコンでGemma 4とFlintのプロンプト処理が高速化された。Lagunaも同じ改善の対象だ。新モデルの追加にとどまらず、既存モデルに入力を渡して処理する段階も改良したリリースだ。
Gemma 4は、小さな画像の細部情報をより多く保持するよう変更された。画像理解モデルを新たに選べる変化とは別に、既存モデルが小さな画像を扱う方法にも改善が加わった。
推論実行環境のMLXでは、生成を先行して試す補助モデルであるDFlash2ドラフトモデルを活用した投機的デコーディングに対応する。次に出るトークン候補を先に提案し、生成を助ける方式だ。プロンプト処理の改善とともに、推論過程のモデル対応も広がったことになる。
4. 機能拡充の利点と対応環境のコストを併せて考える
開発者にとっての利点は、作業に合うモデルの選択肢が広がる点であり、導入判断ではモデルを実行するハードウェアがコスト要因になる。機能一覧を見るだけでなく、実際に配置する環境の確認が重要になる。
リリースノートによると、今回のバージョンのlfm3とd1 2BはAppleハードウェアで対応し、LinuxとWindowsへの対応は今後提供される予定だ。プロンプト処理の改善幅と測定環境は、今回のリリースノートでは数値で示されていない。
導入目的は、新しい入力の種類を扱うことか、既存モデルの入力処理を改善することかに分けて考えるとよい。前者ならモデルごとの機能構成、後者なら使用中のモデルが改善対象に含まれるかが優先的な検討項目になる。
今回のリリースの価値は、モデル数の増加そのものより、作業に合わせたモデル選択と既存モデルの入力処理改善を併せて提供する点にある。
