Clineのエージェント開発ツールの新バージョンは、実行中のタスクへの再接続と、接続が切れた一部のモデルリクエストの再試行に対応した。エージェントを連携させる開発者は進行中のタスクに再アクセスできるほか、同時に変更されたモデル一覧とデフォルト値も確認する必要がある。
1. タスクを継続するセッションに再接続
10月26日に公開されたCline SDK v0.2.0は、すでにタスクが進行中のセッションを開始すると、既存の実行環境に再接続する。以前は実行環境を置き換えるため、元のタスクが動き続けてもアクセスできず、会話履歴も古い状態に記録されていた。新方式は、タスクが継続している場所に接続を戻す変更だ。
リクエストの送信先となるプログラム、クライアントにリクエストを振り分けるハブも接続状態を反映する。セッションに機能を登録したクライアントを記録し、その中でまだ接続されている最初のクライアントにリクエストを送る。すでに実行中のタスクに後から参加したクライアントも対象となる。
接続中のクライアントが1つも残っていなければ、リクエストは速やかに失敗し、ユーザーが対処できるメッセージを送る。この場合、応答を無期限に待っていた動作が変わる。再接続とリクエストの振り分けをともに見直し、実行中のタスクと接続中のクライアントを見つけるようにした。
2. 推論だけが出力されたリクエストは再試行
モデルが回答を作る前に検討する推論だけを出力し、その後に接続が切れた1回の応答過程、ターンは再試行の対象となる。途中まで受け取った推論は破棄し、やり直す。回答を出す前の準備段階で接続が切れた場合を復旧する方式だ。
モデルリクエストは初回の試行後、最大3回再試行する。以前の上限は5回だった。再試行の範囲を広げる一方で、繰り返す回数は減らした。失敗が続く際の待機負担は軽くなり得るが、一時的な障害が長引くと以前より早く失敗が表面化する可能性がある。
失敗した試行はLangfuseのトレースに残し、ユーザーがキャンセルしたリクエストはエラーとして報告しないよう変更した。失敗の記録を残しながら、ユーザーのキャンセルがエラーに混ざることを減らす調整だ。
3. 実際の送信量に合わせて圧縮タイミングを調整
会話内容を短くする処理である最初の圧縮後に、メッセージサイズを推定する方式も変わった。ツールの結果を切り詰め、実際に送信するメッセージを基準に計算する。同社の発表によると、従来の方式はサイズを約7倍に過大評価し、ツールを数回使うたびに圧縮が再実行されていた。
推定対象と実際の送信内容を一致させた今回の修正は、不必要に繰り返される圧縮を減らす点に意義がある。ツールを頻繁に使うタスクで、圧縮のタイミングを判断する基準を修正した変更だ。
モデルの入力上限が不明な場合は、自動圧縮を実行しないようにした。ユーザーが直接要求する圧縮と、入力上限の超過から復旧するための圧縮は引き続き動作する。上限に基づいて事前に圧縮する動作と、必要なときに実行する圧縮を分けて扱う。
4. モデル数よりもデフォルト値の変更に注目
モデルカタログは7,041個から6,457個に変わった。モデルを提供するサービスであるプロバイダーにLiquid Inferenceが追加され、Llamaプロバイダーが削除されるなど、構成も変わった。無料の一覧にはReflection BeamやNemotron 3.5 Lightningなどが追加された。
ClinePassのデフォルトモデルはKimi K3.1 Proに変更された。一覧にはMiniMax M3.1 FlashとDeepSeek V4.1 Flash 1017も追加された。既存の一覧からはMimo V2.5とV2.5 Proが削除された。
ほかの56プロバイダーでもデフォルトモデルが変更された。カタログ全体の規模縮小に加え、デフォルト値によって使用するモデルが変わる点は、連携する開発者にとって直接的な確認事項となる。更新時には、利用中のプロバイダーの一覧とデフォルトモデルを併せて確認するとよい。
5. モデル選択情報と実行条件を確認
OpenRouterに推奨モデルの対応項目がない場合は、Vercelカタログから対応機能の情報を取得する。推奨モデルの情報を補う経路を設けたもので、モデル一覧だけでなく、モデルが対応する機能の情報を補完する方式も調整された。
モデルの内部的な判断の度合いを調整する推論強度の設定maxは、プロバイダーにそのまま渡されるようになった。以前は、構成要素間で値を受け渡す中間接続層が、これをxhighに変換していた。今回は、開発者が選んだ設定をモデルプロバイダーに伝える経路を修正した。
実行条件も確認する必要がある。タスクが進行中のセッションをプロンプト付きで開始すると、リクエストは拒否される。すでにテキストやメディア、ツール呼び出しが出力されたターンは再試行しない。
今回の更新は、タスクに再アクセスする道を確保しつつ、再試行と圧縮の実行基準、モデル選択のデフォルト値を併せて調整した変更だ。
