RAGFlow v1.0.0正式版は、文書を探して回答を生成する開発チームが、ユーザーのアクセス権限に合った範囲で検索できるよう改善した。文書構造の保持やエージェント実行の不具合も修正し、検索結果で回答を補う処理において、文書が誤って分割されたり実行結果が空になったりする問題に対処した。
1. 検索範囲に権限と上限を適用
検索では、結果を並べ直すリランキングと、内容が近い文書を探す近傍探索の候補数に上限を設けた。最終回答に使う文書を選ぶ前に、検討する候補群から制限する方式だ。
対話検索でデータベースに条件を要求するSQLクエリには、ユーザーがアクセスできるナレッジベースの条件を組み合わせるよう修正した。ナレッジベースは文書を保存する場所だ。この権限条件が検索できる文書の範囲を守るのに対し、候補数の上限は検討する候補群の大きさを制限する。文書の断片であるチャンクの削除も、文書をまとめて管理するデータセットの指定範囲に限定し、単一チャンクの更新時にはデータセットと文書の範囲を保持する。
Dify連携では、文書に付け加える説明情報であるメタデータの条件が空の場合に、検索範囲を狭めないよう修正した。
arxivとduckduckgoなど、リリースに明記された四つのツールのレスポンス本文の上限は4 MiBだ。ツールから受け取るレスポンス自体の大きさを制限する変更である。
一覧APIのページサイズの上限は100だ。一度に取得する一覧の項目数に適用される。レスポンス本文の上限はバイト単位の大きさ、ページサイズの上限は項目数に対する別々の制限なので、両者の数値を直接比較することはできない。
2. 文書の解析と分割の不具合を修正
PDFのページ境界で文が途切れる問題を修正し、表で欠落していた行や結合された見出しも保持するよう改善した。PDFの子チャンクが互いを上書きしたり、原文の位置とプレビューがずれたりする問題も修正し、検索に入る前に文書構造を扱う段階の不具合を減らした。
文書処理の対応は、パーサーの選択肢、取り込み経路、外部APIとの互換性という異なる層で改善された。文書構造を読み取るプログラムであるパーサーには、PDF用のMiniCPM-OCRが追加され、MonkeyOCRはGoで実装された文書取り込み経路でPDF処理に対応する。MinerUパーサーは4.1タスクAPIに合わせて互換性を改善し、タイムアウトを環境設定で調整できる。
文書処理キューの全件キャンセルと、実行中のタスクをキャンセルする機能も追加された。誤ったタスクがたまった際に、待機中の文書を一つずつキャンセルする負担を減らす変更だ。
3. エージェント実行と外部接続を改善
エージェントでは、内部に配置したサブエージェントの構成要素が見つからない問題を解決した。
所定の項目に合わせて結果を出す構造化出力が空になっていた問題も修正した。
実行状態の保存時に発生していた衝突を防ぎ、構成要素と条件分岐のエラーを呼び出し元へ伝えるよう変更した。複数の段階をつなぐ処理では、どの段階が失敗したかを追跡する助けになる変更だ。
翻訳と天気機能の認証情報は、ノード設定または専用の環境変数から取得するようにし、モデルに見えるパラメーターから分離した。モデルが扱う入力と外部サービスの接続情報を別々に管理する方式だ。
検索権限と入力上限を整えると、検索やツール呼び出しの範囲を管理しやすくなる。一方、大きな候補群やレスポンスを前提に構成していたチームには、既存の設定とリクエストの大きさを再確認する作業が生じる。
4. コマンドラインツールは環境に合わせてインストール
正式版のアセットには、OSとプロセッサーの種類に合わせた6種類のコマンドラインツールと、インストールスクリプト、チェックサムファイルが含まれる。
シェルのインストールスクリプトはOSとアーキテクチャを判別して該当ファイルをダウンロードし、SHA256SUMSと照合して、ファイルの完全性を確認するための要約値であるチェックサムを確認した後にインストールする。既定のインストール先は/usr/local/binで、以下の設定はスクリプトからそのまま抜粋した。
INSTALL_DIR="${INSTALL_DIR:-/usr/local/bin}"
GITHUB_REPO="${GITHUB_REPO:-infiniflow/ragflow}"
CLI_NAME="${CLI_NAME:-ragflow-cli}"
VERSION="${VERSION:-latest}"インストールするバージョンの既定値は最新リリースを指す。今回の正式版に固定するには、バージョン設定を指定してインストールし、パスも必要に応じて変更できる。Windows用のインストールスクリプトもリリースアセットとして提供される。
v1.0.0の要点は、検索・解析・エージェントの処理経路をより予測しやすく整えたことであり、アップグレード前には強化された範囲制限とインストール方式を併せて確認しておきたい。
