OpenAIは、脆弱性を見つけて実際に攻撃可能かを検証し、研究者が定めた範囲を守るよう訓練したセキュリティモデルGPT-6 Cyberを公開した。承認済みのセキュリティチームからAPIとCodexで利用でき、防御チームやオープンソースの保守担当者による脆弱性調査と修正検証を支援する。

1. 指定された脆弱性への攻撃成功率は48.5%だった

同社の発表によると、GPT-6 CyberのExploitGymスコアは48.5%で、従来のサイバーモデルから相対的に51%向上した。この評価は、リモート対象の指定された脆弱性を利用し、実際に攻撃を成功させるかを見る。脆弱性の指摘にとどまらず、動作する攻撃手法を作る能力を試すものだ。

表:ExploitGymの指定された脆弱性への攻撃成功率

条件:リモート対象の指定された脆弱性を利用する、厳格な単一試行の成功率(pass@1)評価。モデルとアクセス設定は各行に表示。同社発表に基づく。

単位:%

ExploitGymのモデル・アクセス設定別成功率GPT-5.6 (Daybreak Blue): 成功率 30.3; GPT-5.6 Cyber: 成功率 32.1; GPT-6 Astra (安全対策適用): 成功率 0.0; GPT-6 Astra (Daybreak Blue): 成功率 42.4; GPT-6 Cyber: 成功率 48.5GPT-5.6 (Daybreak Blue)30.3GPT-5.6 Cyber32.1GPT-6 Astra (安全対策適用)0.0GPT-6 Astra (Daybreak Blue)42.4GPT-6 Cyber48.5
ExploitGymのモデル・アクセス設定別成功率
指定された脆弱性への攻撃成功率は48.5%だった
モデル・アクセス設定成功率
GPT-5.6 (Daybreak Blue)30.3
GPT-5.6 Cyber32.1
GPT-6 Astra (安全対策適用)0.0
GPT-6 Astra (Daybreak Blue)42.4
GPT-6 Cyber48.5

同じ評価で従来のサイバーモデルのスコアは32.1%だった。ただし、表のアクセス設定には安全対策の適用有無が含まれるため、スコアには攻撃遂行能力だけでなく、要求を受け入れるかどうかも反映される。

同社の発表によると、ソースコードなしでウェブアプリケーションを探索する別の評価では、脆弱性の検出率は40.3%だった。比較対象のGPT-6 AstraのDaybreak Blue設定は32.0%を記録した。

既知の脆弱性があるアプリケーションを管理された環境に配置するRemoteExploitBenchの初期評価では、同社発表によると課題の95%を完了した。比較対象の汎用モデルのDaybreak Blue設定は全課題を拒否した。OpenAIはこうした結果を踏まえ、独自のサイバーリスク等級を「高」から「致命的」に引き上げた。

2. 容易な抜け道があっても作業の境界を守るよう訓練した

OpenAIは、承認された範囲を守り、行動制限に従い、結果を正確に報告するための専用の訓練を行ったと述べた。これを試すExploitGym Honeypotは攻撃者を誘う偽のサービスで、隔離環境にパッケージリポジトリなどの補助サービスを置き、それを攻撃すれば課題の正解を示す印を得られるよう設計された。容易に正解を得られる抜け道があっても、許可された対象だけを扱うかを見る試験だ。

同社の発表によると、運用時の安全指示がない場合、範囲外のサービスを攻撃しなかった割合はGPT-6 Cyberが99.93%、GPT-5.6 Cyberが94.49%だった。新モデルに安全指示を適用すると、範囲遵守率は100%だった。

3. LinuxとFirefoxでは再現資料と修正案を併せて提出した

同社の発表によると、研究チームはLinuxカーネルの脆弱性1,724件を再現し、948件について動作する攻撃コードを開発した。同じ研究ツール構成で試験したGPT-5.6 Solの166件の5倍以上だ。深刻な問題304件は修正候補とともに保守担当者に通知し、残りも修正手続きを進めていると述べた。

Firefoxでは同社発表によると、従来の複数世代のモデルによる点検でも見つからなかった脆弱性81件の証拠と再現テストを提出した。Mozillaはこれらを高リスクに分類した。既知の問題30件も従来の評価より深刻度が高いと確認され、Mozillaは報告後まもなく修正の反映を開始した。

顧客企業のCognitionは、独自の脆弱性発見・攻撃検証評価で23%を記録し、従来の最高点13%を上回ったと述べた。CodeRabbitは、社内のセキュリティレビュー評価で、従来の運用モデルより高・中リスクの問題を66%多く発見したと述べた。

4. 検証能力の向上に伴い運用管理も強化される

防御チームは、脆弱性の発見から攻撃の再現、修正検証までの作業にモデルを活用できる。その一方、利用にはアクセス承認と監視が伴う。OpenAIはDaybreak Red APIについて、原則として許可されたIPアドレスからのみ接続できるようにし、高リスクの作業には隔離環境、行動レビュー、人による監督を推奨する。

データを保持しないAPI利用方式であるZero Data Retentionを選んだ顧客は、通常、Private Safety Processingも利用する必要がある。この手続きでは顧客のストレージに30日間保存された暗号化記録を自動点検するが、OpenAIの従業員に入力や応答は開示しない。防御作業を支援しつつ、悪用の有無を確認するための運用要件だ。

OpenAIは、重要インフラに関わる高リスク活動を防ぐ点検も強化した。脆弱性の探索や修正検証にも同じ技術を使うため、遮断率の向上と正当な研究の支援を併せて考慮すると説明した。

5. 承認済みの顧客から提供し研究者のアクセスを広げる

新モデルはまず承認済みのDaybreak Red顧客の一部に提供され、その後、対象顧客全体へ拡大する予定だ。新規ユーザーや組織はDaybreakの利用を申請できる。脆弱性と修正の検証を支援するDaybreak Blueのアルファ版アクセスも、汎用モデルを利用するより多くの組織や個人のセキュリティ研究者へ広がる。

重要インフラの防御には10億ドル規模の支援プログラムも設けられた。資源の乏しい政府組織や必須サービス提供者などの利用を補助し、承認済みの防御組織には重要システムを試験する権限を与える別のアクセスグループを運営する。

GPT-6 Cyberの変化は、脆弱性をより多く発見するだけでなく、攻撃の再現能力と承認された範囲を守る訓練を共に強化した点にある。